個人衛生
体調不良の場合は責任者に報告し、 食品を扱う作業はしないことが望ましいです。
体調不良というと、下痢や嘔吐、発熱といった症状をイメージしがちです。もちろん、こうした症状も従業員の方を介する食中毒事故の重要なサインです。何も対策を立てずに勤務してしまうと、事故発生のリスクは一気に高まります。
しかし、下痢や嘔吐、発熱以外にも見逃してはいけない大切なサインがあります。それが、手荒れです。「たかが手荒れ」と思われるかもしれませんが、手荒れがひどい手指には、食中毒を引き起こす黄色ブドウ球菌が付着しやすくなることが確認されています*1。そのような手で調理した料理は、菌に汚染されている可能性が高く、食中毒事故を引き起こしかねません。手荒れも食中毒事故につながる、管理すべき重要な体調不良の1つとして考えましょう。
*1 出典:西田 博、食品工業28(4)73(1985)
体調は日々変化するものです。全従業員の変化と今の状態をもれなくフォローできる手段として、店舗に「健康管理チェック表」を取り入れ、常に今の健康状態をトレンドで記録・把握することをお勧めします。健康管理チェック表は、大手飲食チェーン、給食サービス、スーパーなどですでに導入されています。
作業者が菌を持ち込まないよう、検便検査をすることが望ましいです。法的拘束力はありませんが、厚生労働省が示す「大量調理施設衛生管理マニュアル」*2では検便検査の実施が推奨されています。
検便検査では、毎月腸内検査を実施し、病原菌を保菌していないか確認します。保菌していても症状にあらわれない不顕性感染者を見つけるために、検便検査は有効です。
*2 大量調理施設衛生管理マニュアルには、「調理従事者等は臨時職員も含め、定期的な健康診断及び月に1回以上の検便を受けること。検便検査には、腸管出血性大腸菌の検査を含めることとし、10月から3月までの間には月に1回以上または必要に応じてノロウイルスの検便検査に努めること」と記載されています。