飲食店は、日銭商売です。お店を開けているだけでなく、お客様が食事をして、お金を落としていってくれなければ商売になりません。
今回は飲食店にお客様を効率的に集客する方法を考えてみましょう。
AIDMAの法則(アイドマの法則)をご存知でしょうか?経営の基本的な考え方ですが、お客様が飲食店を利用してくださるまでのプロセスを分解したものです。
Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)
今まで行ったことの無いピザレストランをお客様が見つけたという例で考えてみましょう。
数ヶ月前まで、何もなかった場所に、突然イタリアンカラーの看板が立ちました。その店の前を通行したある人がその看板に気がつき、
「当店のオーナーはイタリアの有名店で10年以上の修行経験があります。真のナポリピッツァ協会 主催のコンテストで2回優勝した実績があり、このたびナポリピザ専門店を立ち上げました。ぜひ本物の味をご賞味ください。」
という内容を見て興味を持ちます。
「お、新しいイタリアンができたのか(Attention)」「へー、ナポリピザ専門、しかもコンテスト優勝か(Interest)」「真のナポリピッツァ協会はイタリア政府公認だってテレビで見たことあるぞ。その協会の認定店ならどのピザもおいしそうだな。そういえば昨日ポストにこの店の割引券が入っていた気がするな。安くなるのなら一度食べてみたいな(Desire)」「今度の週末に家族とでも来てみるか(Memory)」という頭の中のプロセスを経て、最後にご家族とめでたくご来店(Action)という流れになります。
この例では、店の看板を見てくださった方が、ポスティングしておいたお店の割引チラシを覚えてくれていたことがご来店につながったようです。新規オープンの飲食店では、もちろん常連さんはいらっしゃいませんから、このように「店の前を通っているお客様候補の方」に自店のアピールポイントを訴求してご来店いただくしかありませんが、毎週のようにチラシをポスティングしておくことはできませんよね?
チラシをポスティングするには、印刷と投げ込みのコストがかかります。印刷代と人件費で10万円のコストをかけて、1万部のチラシをポスティングしたとしても、反応率は高くても0.3%程度、すなわち10万円で30人の新規集客しかできません。10万円で30人ですから、1人あたりの新規集客コストは3,333円ということになります。
一方、一度ご来店くださったお客様に再度ご来店いただくためにかかるコストは、この7分の1程度だと言われています。
新規のお客様を自店に呼び込むためには、先ほどのAIDMAの法則のAIDMを経て、やっと来店(Action)してもらえます。が、一度自店のピザを召し上がったお客様は、AIDをすでにクリアしていますので、「次回ご来店時にお使いいただける、スモールサイズピザ1枚無料プレゼントチケットです。」と割引チケットをお渡しすることで、記憶(Memory)してもらえ、また翌月などにご来店(Action)いただけるということになります。
仮にスモールサイズピザの価格が1枚1,500円だとしても、原価は30%程度なので、450円。すなわち、3,333円の7分の1程度の金額で集客することができるのです。
もちろん、肝心のピザの味や接客がお客様に合格点をいただけていることが前提です。
飲食店経営を行い、利益を出すためには、「いかにして集客コストを下げるか」を考えていかなければなりません。その視点で言えば、まだ自店のことをご存知ではないお客様に自店の存在に気が付いてもらうところから始めるよりも、一度自店をご利用になったことのあるお客様を再度呼び込んだほうがコストを低くできそうな気がしませんか?
もちろん、毎回割引チケットをお渡しするだけでなく、会員カードやスタンプカードを併用することで、お客様に「この店は来れば来るほど色々なサービスをしてくれる良いお店」という印象付けが出来れば、長い間ご来店し続けてくださるロイヤルカスタマー(愛顧客)になっていただけることでしょう。
利益を出したい飲食店経営者の方は、新規のお客様を呼び込むことよりも、既来店客を再度呼び込む施策を実施することをおすすめします。ぜひお試しください。
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