コラム

2018年2月12日更新

2018年度、介護報酬改定が明らかに
自立支援と重度化防止、医療との連携に重点が置かれる

1月26日に、平成30(2018)年度の介護報酬改定の全容が明らかにされました。4月から新たに適用される単位数が公表され、社会保障制度審議会の介護給付費分科会で了承を得ました。今後はパブリックコメントなどの手続きを踏んで、交付される予定です。
今回と次回の2回にわたって改定の概要と各サービスの改定事項についてみていきます。
1回目は、改定の概要と各サービスにおけるポイント。次回は特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護付き有料老人ホームなど特定施設の詳細について触れていきます。

 
6年ぶりのプラス改定だが、マイナス0.5%の適性化も

2012年から2018年までの介護報酬改定率を示した表。

2018年度の介護報酬改定率は0.54%のプラス改定となりました。介護報酬は3年に1度見直されることになっていますが、前回(2015年度)はマイナス2.27%の改定ですから、前々回(2012年度)の+1.2%以来のプラス改定(マイナス0.5%程度の適性化を含む)です。厚生労働省の昨年度の介護事業経営実態調査によると、介護事業の利益率は全サービス平均で3.3%の黒字となっていますが、前回調査より0.5ポイント低下しています。慢性的な人手不足に加えて全般的な景気の回復基調から多くの企業で業績が改善し、介護業界に流れる人材は減っています。今回のプラス改定は、介護の人材確保も視野に入っていると言えるでしょう。

今改定の柱は、「地域包括ケアシステムの推進」「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」「多様な人材の確保と生産性の向上」「介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保」の4つがあげられています。なかでも、自立支援を促すしくみと、医療との連携の評価に重点が置かれているのが特徴です。以下は、各サービスにおける、改定のポイントです。

 
特養・老健ともに、基本報酬は増
医療との連携やサービスの質向上に資するインセンティブを設ける

施設系では、介護老人福祉施設(特養)において、基本報酬が従来型個室とユニット型個室については引き上げ。身体拘束廃止未実施減算は、現行5単位/日から10%/日へ拡充されています。また、夜勤職員配置加算の見直し、看取り介護加算は、算定にあたり医療提供体制を整備し、施設内で看取った場合、より手厚く評価されることとなりました。自立支援・重度化防止に資する介護推進のため、生活機能向上連携加算の新設、排せつ支援加算褥瘡マネジメント加算の新設等、生活の場としての特養の立ち位置を明確にし、栄養ケアマネジメント加算の要件緩和など低栄養改善、介護ロボットの活用の推進として、見守り機器の導入も評価し、サービスの質向上を目ざすインセンティブを増やしました。

介護老人保健施設(老健)では、基本報酬においては、在宅強化型は増、現行従来型と呼ばれる施設のなかでも一定の在宅復帰・在宅療養支援機能を有するものを基本型として新たに評価することとなりました。また医療との連携では、かかりつけ医連携薬剤調整加算の新設、ケアの質の評価面では、排せつ支援加算、褥瘡マネジメント加算が新たに創設されるようになりました。また、栄養ケアマネジメント加算の要件緩和として同一敷地内の介護保険施設との兼務が認められるようになったほか、口腔衛生管理加算では、歯科衛生士の口腔ケアの実施回数を4回から2回に見直し、口腔ケアの対象者を増やすとしています。身体拘束廃止未実施減算については特養と同じく10%/日とされました。
今回新設された介護医療院との連携に関しても加算が新設されています。

特定施設入居者生活介護は、入居者の医療ニーズへの対応として、基本報酬は微増。退院・退所時連携加算、入居時継続支援加算の新設で評価し、自立支援・重度化防止対応として、生活機能向上連携加算を新設しました。また若年性認知症入居者受け入れ加算、口腔衛生管理体制加算、栄養スクリーニング加算も新設されたところがポイントです。

 
訪問介護は基本報酬が微増減にとどまり
通所介護は、大規模型は大幅減、通常規模型は一部減、地域密着型は増となる

在宅系として、まず訪問介護では、身体介護として行われる「自立生活支援のための見守り的援助」を明確化し身体介護に重点を置いた報酬とするとしながら、改定幅は微増・微減にとどまりました。焦点の生活援助中心型は2単位ずつ減ったにとどまり、新たな担い手の創設が提示されました。訪問回数の多い利用者への対応としては、ケアプランの見直し等が必要となり、サービス提供責任者の任用についても介護福祉士に限定しました(経過措置あり)。

通所介護は、大規模型事業所は、介護事業経営実態調査による収支差率等の実態を踏まえ、大きく報酬減、通常規模型は一部引き下げ、地域密着型は引き上げとなり、基本報酬の設定が現在の「2時間ごと」から「1時間ごと」に見直されました。自立支援・重度化防止の観点から、一定期間内に当該事業所を利用した者のうちADL(日常生活動作)の維持または改善の度合いが一定の水準を超えた場合は新たに評価すること(アウトカム評価の創設)、また、生活機能向上連携加算が新設され、機能訓練指導員の算定要件には一定の実務経験を有するはり師、きゅう師が追加されています。栄養支援の部分でも見直しを行い、栄養改善加算の算定を外部の管理栄養士の実施でも認めるとしたほか、介護支援専門員に栄養状態に係る情報を文書で共有した場合を評価する「栄養スクリーニング加算」を創設しています。

居宅介護支援でも、医療と介護の連携強化があげられ、入院時情報連携加算、退院・退所加算の見直しが行われました。また、末期がんの利用者に対するケアマネジメントについては、ターミナルケアマネジメント加算が新設されました。また、質の高いケアマネジメントを推進するため、事業所の管理者要件を主任ケアマネジャーに限るとし、3年間の経過措置を設けています。

次回は施設系サービスについて改定の主旨をさらにくわしく解説します。

監修:株式会社エス・エム・エス

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