食中毒の発生状況は1年中一定ではありません。おおよその傾向では、寒い季節に食中毒の発生は少なく、4月・5月と暖かくなるにつれて多くなり、7月から9月にかけての夏場に最盛期を迎えるといわれています。フグやキノコなどによる食中毒(自然毒)も季節と関係があり、キノコは秋(10月)、フグは冬(10~12月)に多いとされています。
しかし2006年暮れから2007年初頭にかけて、今まであまり認知されていなかったノロウイルスによる感染症と食中毒が猛威を振るいました。ノロウイルスはこれまで比較的安全とされていた11月から3月という冬期に多発し、近年では保育園、学校、高齢者施設でしばしば集団発生が起こることから、特に注目されています。また、寄生虫のアニサキスによる食中毒の発生が増加傾向にあります。細菌・ウイルスだけでなく、寄生虫にも関心が集まっています。
こうした背景には、細菌・ウイルスなどの微生物の生態、私たちの食生活、生活環境や自然環境の変化が複雑に絡み合った状況があると考えられます。また、企業の不祥事によって食中毒事件が起きることもあります。食中毒を防止するためには、年間を通じて具体的な食中毒対策を行う必要があります。
O157、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌などの細菌による食中毒は集団発生することが多く、1回の食中毒事件で多くの患者数(事件規模)が発生しています。 2006~2007年にはノロウイルスが猛威を振るい、日本全国で大流行しました。
事件数
患者数
食中毒は季節を問わず発生しています。