HACCPの基本

一般衛生管理

衛生管理計画のポイント

一般衛生管理とは、「どの食品についても行うべき共通事項」であり、普段から取り組んでいる衛生管理の項目のことです。ここでは「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の衛生管理計画を作成する上で、「いつ」「どのように」「問題があった時どうする」を決める為のポイントを紹介します。

① 原材料の受入の確認


■なぜやるの?

腐敗しているもの、包装が破れているもの、消費期限が過ぎているもの、保存方法が守られていない原材料などには有害な菌が増殖している可能性があります。また包装が破れているものは、異物が混入している可能性もあります。

■管理方法は?

検品時に外観、におい、包装の状態、表示(期限、保存方法)、品温などを確認します。

■管理ポイント

品温チェックは確実に行いましょう!

  • 食材が冷えていないなど温度異常があると、菌が加熱しても壊れない毒素を出していたり、赤身魚ではヒスタミンによる食中毒原因になる事もあります。

  • 冷蔵や冷凍の食材は、長時間室温に置かない。

品温チェックのイラスト。手で触れて冷えているか確認したり、温度計を使用して食材の温度を計る。

■問題があった場合は?

② 冷蔵・冷凍庫の温度の確認


■なぜやるの?

温度管理が悪かった場合には、有害な菌が増殖したり、食品の品質が劣化したりする可能性があります。

■管理方法は?

毎日決められた時間に冷蔵庫、冷凍庫の温度を確認します

■管理ポイント

食材に適した温度帯で保管しましょう!

食品と保存温度の表。常温:穀類。10度前後:生鮮果物・野菜。10度以下:乳製品類、食肉・食肉製品、殻付卵。8度以下:液卵。5度以下:生鮮魚介類(生食用を含む)。マイナス15度以下:冷凍魚介類・冷凍食肉製品。マイナス18度以下:凍結卵。 ※商品記載の保存温度を確認してください。

  • 厚生労働省 大量調理施設衛生管理マニュアルより加工して作成

庫内の温度を正常に保ちましょう!

  • 食材を詰め込み過ぎない。
  • 冷却口を塞がない。
  • 冷却時には食材を熱いまま入れない。
  • 長時間扉を開けっ放しにしない。
  • 保存している食材の期限表示も定期的に確認し、期限内に使用するようにしましょう。

冷蔵庫内に食材が詰め込まれすぎている状態のイラスト。

■問題があった場合は?

③-1 交差汚染・二次汚染の防止


■なぜやるの?

保管や調理の際に、生肉や生魚介類などから他の食品へ有害な菌の汚染が広がる可能性があります。

■管理方法は?

  • 食材はふた付きの容器などに入れ、冷蔵庫内で区別して保管します。
  • まな板、包丁などの調理器具は、用途別に使い分け、扱った都度に十分に洗浄し、消毒します。

■管理ポイント

区分と用途別使い分けで二次汚染を防ぎましょう!

  • 冷蔵庫内は区分表示をして常に決まった場所に決まった食材を保管しましょう。
  • 包丁、まな板は形や色で区別するとわかりやすくなります。
  • 冷蔵庫内の食材がしっかりと区分して保管されている様子のイラスト。最上段に調理済み食品、中段に野菜。下段に肉魚が保管されている。

  • 調理器具の使い分けの例。食品別に色分けする。赤:生肉用。青:生魚用。緑:生野菜用。白:加熱調理済み用。

■問題があった場合は?

③-2 器具等の洗浄・消毒・殺菌


■なぜやるの?

まな板、包丁、ボウル等調理器具に汚れが残っていると、他の食品に汚れや有害な菌の汚染が広がる可能性があります。

■管理方法は?

  • 使用の都度、まな板、包丁、ボウルなどの器具類を洗浄し、消毒をしましょう。
  • 常に保管場所を清潔に保ちましょう。

■管理ポイント

洗剤は正しく使用しましょう!

  • 洗剤を正しい希釈濃度、使用量で正しい対象物に使いましょう。
    • 洗剤希釈マニュアルや説明書等を確認しましょう。

  • 予め汚れを洗浄で落としてから消毒をしましょう。
    • 洗浄マニュアルや説明書等を参照しましょう。

包丁とまな板を洗剤を使用して洗浄・消毒しているイラスト。

■問題があった場合は?

③-3 トイレの洗浄・消毒


■なぜやるの?

トイレはノロウイルス、腸管出血性大腸菌などのさまざまな病原体に汚染されるリスクが特に高い場所です。トイレを利用したヒトの手を介して食品を汚染する可能性があります。

■管理方法は?

  • 毎日定期的にトイレの洗浄・消毒を行い、汚れ吐物がない事を確認しましょう。
  • ハンドソープ・アルコール・ペーパータオルなどの備品を補充しましょう。

■管理ポイント

菌を厨房内に持ち込まないことが重要です!

  • 病原体の運び屋となる手が触れる部分が特に注意です。便座、水洗レバー、手すり、ドアノブなどは入念に消毒しましょう。

トイレの便座裏、水洗レバーを清拭し消毒しているイラスト。

  • 清掃の際には、清掃用の作業着などに着替え、調理する食品を汚染させないように注意しましょう。
  • トイレチェック後は必ず手洗いをしましょう。

■問題があった場合は?

④-1 従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など 


■なぜやるの?

調理担当が下痢をしていると手指などを介して食中毒が発生する危険性があります。また、手指に切り傷などがある場合や汚れたままの作業着の着用、装飾品を外し忘れたままでの調理作業などは、食品を有害な菌で汚染したり、異物混入の原因になる可能性があります。

■管理方法は?

  • 発熱、下痢、嘔吐、吐き気など従業員の体調や手の傷、手荒れを確認しましょう。
  • 作業着、作業靴、マスク、帽子など清潔な身だしなみの確認をします。

■管理ポイント

普段からの健康管理が大切です!

  • 感染していても発症していない方を見分けるために腸内細菌検査を定期的に実施する事もおすすめです。

検便用の採便容器と検体袋のイラスト。

  • 手荒れのない健康な手指のために、クリームやローションで日々の手指ケアをしましょう。

ハンドクリームを使用して手指ケアをしているイラスト。

出社時に身だしなみチェックしましょう!

  • 従業員同士で身だしなみ、手の状態(爪を含む)をお互いにチェックしましょう。

二人の従業員がお互いの身だしなみをチェックしている様子のイラスト。

■問題があった場合は?

④-2 衛生的な手洗いの実施(菌をつけない) 


■なぜやるの?

手には目に見えない有害な菌が付着していることがあり、食品を汚染する可能性があります。手洗いは見た目の汚れを落とすだけでなく、これらの菌で食品を汚染しないためにも大切です。

■管理方法は?

このようなタイミングでは衛生的な手洗いをします。

pc-sp_haccp_point_general_control_img19

●手洗いが必要なとき

手洗いが必要なタイミングを表したイラスト。以下のタイミングで手洗いを行う必要がある。作業開始時・終了時、身体各部に触れたとき、食材が変わるとき、2枚貝を触ったとき、休憩・トイレのあと、汚れたものに触れたとき、衛生手袋を着けるとき・外したあと、盛り付け作業前。

手洗いが必要なタイミングを表したイラスト。以下のタイミングで手洗いを行う必要がある。作業開始時・終了時、身体各部に触れたとき、食材が変わるとき、2枚貝を触ったとき、休憩・トイレのあと、汚れたものに触れたとき、衛生手袋を着けるとき・外したあと、盛り付け作業前。

手洗いが必要なタイミングを表したイラスト。以下のタイミングで手洗いを行う必要がある。作業開始時・終了時、身体各部に触れたとき、食材が変わるとき、2枚貝を触ったとき、休憩・トイレのあと、汚れたものに触れたとき、衛生手袋を着けるとき・外したあと、盛り付け作業前。

■管理ポイント

適切なタイミングと正しい手順で手洗いをしましょう!

  • 洗い残しがないように衛生的な手洗いを徹底しましょう。(1分間手洗い)

手洗いが不十分になりやすい箇所を表したイラスト。指先や指の間の洗い残しが起きやすい。

■問題があった場合は?

一般衛生管理計画書フォーマット例もご活用ください。

洗浄の手順書や衛生管理ポイントを記した書類があれば一緒にしておきましょう。

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