飲食店の経営用語にはなかなか難しいものもありますが、「人時売上高」というものは聞かれたことがあるでしょうか?人時売上高は「にんじうりあげだか」と読みますが、この経営指標は、「従業員1人が1時間働くことで、いくらの売上を獲得したのか」を測るものです。
似た経営用語に「人時生産性」というものがありますが、こちらは1時間あたりの生産性(粗利)を測る指標です。似てはいますが、この2つは違う指標なのでお気を付け下さい。
人時売上高=売上高÷総労働時間
人時生産性=粗利高÷総労働時間
計算式で表すと、上記のようになります。一般的には、2つの指標は共に高ければ高いほど良い、と言われていますが、あまりにもこの2つの指標が高すぎると、「お客様に対するサービスレベルが伴っていないケースが多く、中長期的には客離れを発生させる危険がある」と言えます。
例えば、以下のA店、B店で比較してみましょう。
A店の人時売上高は150万円/300時間なので5,000円、人時生産性は100万円/300時間なので3,333円ということになります。
B店は人時売上高が250万円/300時間なので8,333円、人時生産性は175万円/300時間なので5,833円となります。
「2つの指標は高ければ高いほど良い」という教科書的な視点では、B店のほうがA店に比べ、経営的に優れていることになります。少ない労働時間数で売上と粗利を多く確保できているので、短期的に経営数値を見れば言うことないからです。
しかしながら、1ヶ月間で300時間しか労働時間が無いということは、1日ではたったの10時間です。平均10時間で8万円以上の売上を毎日作っているということは、お客様に喜んでいただけるだけのきめ細やかなサービスは、提供できていないのではないでしょうか。
一方、A店では、1日5万円程度の売上なので、店長1人の運営(ワンオペ)でも、お客様からは不満は出てこないと思われます。
では、飲食店における人時売上高の目標は、どれくらいに設定したら良いのでしょうか?まずは目標を5,000円としましょう。
ご自分のお店の人時売上高を計算してみてください。「総労働時間」には、店長からパート・アルバイトまで、全ての労働者を含んで計算しますが、給与などは人時売上高を計算する場合は考慮せず、あくまで「労働時間」のみで考えます。
もし人時売上高が3,000円程度しかない場合は、「3,000円の売上をつくるのに1時間の労働時間がかかる」ということになり、最終利益が残せないはずです。粗利率が70%しかない場合は、人時生産性が2,100円しかなく、スタッフに支払う時給に、保険その他付帯費用などを勘案すると、赤字になってしまうからです。
人時売上高はまずは5,000円程度を目指していただきたいのですが、一方、客単価が一般的な飲食店でB店のように売上を追求し8,000円を超える人時売上高にしてしまうと、「あの店は店員が少なく、サービスが悪いから2度と行かない。」などと、お客様の評判を落としてしまうので要注意です。
飲食店経営者の中には、「1日の売上や適切なシフト組みなんて、ふたを開けてみないと分からないよ。」とおっしゃる方もいます。でも、人時売上高の考え方を基にすれば、ある程度コントロールをすることが可能になります。
例えば、ある週末の金曜日。給料日後ということもあり、その日の売上目標を20万円と強気に設定しているとしましょう。1日の売上目標が20万円、人時売上高目標を5,000円と設定した場合、
20万円÷5,000円=40時間となり、その日の総労働時間は40時間使えるということになるのです。
しっかりと自店の売上、総労働時間を普段から把握しておけば、
「先月末の給料日直後の金曜日は、同じく20万円の売上を達成したけど、36時間分しかシフトを組まなかったからお客様にご迷惑をかけてしまったな。今回はピークタイムの19時から21時までの2時間だけホールにシフトインしてくれる学生スタッフ2人に声をかけて、総労働時間40時間態勢で店を回してみよう。うちの店の人時売上高は当分の間5,000円目標でシフト組みをするのが良さそうだ。」
と、人時売上高の観点からシフト組みをすることができるようになるのです。
数字とか経営の難しいことは嫌いだから、と目を背けることなく、せっかくご来店くださるお客様の満足度を高めるためにも、まずは自店の人時売上高の計算をしてみるところから始めてみましょう。狙い通りにシフト組みがはまると、楽しくなってきますよ!
contact
03-5630-7141
営業時間:9:00~12:00、
(土・日・祝日・年末年始・夏季休暇を除く)
03-5630-7130
ご返信できますようお客様の氏名、電話番号、
お電話の混雑状況によって、つながりにくい場合がございますので、
ご不便とご迷惑をおかけいたしますが、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
製品の誤飲・誤食、製品が目に入ったなど、緊急の場合は、すぐ医療機関にご相談ください。
また、製品サポート・Q&Aもご参照ください。