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人件費抑制・業務効率化のためには「標準時間」を設定しよう

2023年10月25日 更新

時給をアップしても飲食店スタッフの応募が入らなくなってきた

最近、「少しずつだけど、コロナ禍前の感じでご予約が入り始めたよ」という一方で、「予約が入るのはうれしいけど、応対するスタッフが全然集まらないんだよ」というお店も多いことでしょう。

東京都内の飲食店でも、コロナ禍前までは1,100円、1,200円の時給でも応募が入っていたけれど、今は1,500円で募集をかけてもほとんど応募が入らない、という声もお聞きします。

◎時給1,500円~(22時以降は1,875円~) 髪色自由、未経験者も歓迎!
 まかない(200円/回)、交通費支給(1,000円/日まで)あり

こんな好条件でも応募がほとんど入らず、さらに高時給で人を募集せざるを得なくなると、人件費がかさみ、経営が立ち行かなくなってしまいそうですね。

飲食店業務効率化のポイントは「分解」による業務効率化

時給1,500円でも1,600円でも、なんとか働いてくれる人が確保できたらうれしいことです。ただし、高時給で人を雇うということは人件費が高くなるということです。「業務の効率化」を考えなければ、利益は確保できません。

飲食店業務の効率化を考える際は、チェーンストアオペレーションという、チェーン店の本部が効率的な経営をするために店舗の運営システムを標準化する考え方が参考になります。

例えば、ハンバーガーのファーストフード店のキッチンをイメージしてみてください。

  • いつ、どの店舗で注文が入っても同じクオリティのハンバーガーを提供する
  • その作業をできるだけ短い時間で効率的に行う

ための仕組みとマニュアルとトレーニング方法が確立されています。

ハンバーガーのオーダーが入った場合、1人がすべての調理工程を担当するわけではありません。

  1. バンズ(パン)をトーストする担当
  2. パティを焼く担当
  3. バンズにパティ・野菜・ソースを盛り付ける担当

というように、調理工程を分解し、複数人で分担することで、最も効率的においしいハンバーガーを作っているのです。

小規模飲食店でも、「分解」は有効

小規模飲食店では人が確保できないんだからそうはいかないよ、とおっしゃらないでください。複数人で調理を分担できなくても、業務効率化は可能です。

例えば、肉野菜炒め定食のオーダーが入ったとしましょう。
オーダーが入ってから玉ねぎの皮を剥いていたら、間に合いませんよね。仕込みの時間帯に、10玉分の玉ねぎの皮を事前に剥き、くし切りにしているはずです。

豚バラ肉も、事前に100グラムずつなどに小分けしてラップでくるんでバットに並べていませんか?もやしも、ニンジンも、キャベツもニラも同様のはずです。
つまり、肉野菜炒めを調理する前には、調理を効率的に行うために食材をあらかじめ切るなどの分解(仕込み)をしています。

この仕込みをさらに効率化することで、高時給で雇ったキッチンスタッフであっても、十分に時給以上の働きをしてもらえるようになります。

業務効率化のためには「標準時間」を意識しよう

さあ、ここで質問です。
10個分の玉ねぎの皮を剥き、くし切りにしてボールに入れておく
という仕込み作業を、あなたは何分でできますか?

ほぼ全員の方が、いつも感覚でやっているから正確な時間なんて分からないとおっしゃるでしょう。
店長ならば6分くらいですかね?では調理経験のあるアルバイトのAさんはどうですか?8分くらいかかるでしょうか?

チェーンストアオペレーションにおいては、「標準時間」という考え方を用います。
標準時間とは、「その業務を終えるのにかかった最も短い時間」と捉えてください。分かりやすく言えば、その作業における世界記録ならぬ店舗記録という感じですね。
(少しややこしいのですが、「その作業をするための平均時間」ではありません。)

今の例で言うと、玉ねぎ10個をくし切りしてボールに入れるまでのあなたのお店の標準時間は6分、ということになります。

店長の6分とAさんの間には2分の違いがありました。たった2分と思わないでください。時給1,500円の2分は50円にもなっちゃうんです。玉ねぎの仕込みを効率的に行うだけで、50円も利益を創出したと同じ効果が得られる、と考えると大きいですよね?

さらにあなたのお店の標準時間を1分更新できれば、また25円の利益を確保できます。
これが、玉ねぎだけでなく、他の野菜なども全部効率的に仕込みをすることができれば、「肉野菜定食用の仕込みで毎日30分の業務効率化」ができる可能性があります。

標準時間を設定し、その標準時間で業務を行うやり方をスタッフに教育することで、毎日750円分も利益がアップできるとしたら、どうですか?
30日間で22,500円ですよ!やらない手はありません。

洗い場にもホールにも標準時間を設定する

調理スタッフだけでなく、洗い場スタッフにも標準時間を設定しましょう。
食洗器がない店舗では、100枚のお皿を洗うのに何分かかるでしょうか?現在の標準時間が20分の場合、効率的な洗い方を教育することで、10分に短縮できるかもしれません。

皿洗いの時間を10分に短縮できれば、効率は200%となり、時給1,500円の場合、250円も多く利益を創出したと同じ効果を得られます。

ただし、ポイントは標準時間を設定するだけでなく、「1枚洗って流し、また1枚とやるのではなく、全部のお皿をスポンジで洗った後に一気にぬるま湯ですすぎ、乾かそう」など、どうやったら1分でもその記録を縮められるかを具体的に指導してあげることです。

ホールスタッフにも、お客様が帰られた後のバッシングに標準時間を設定してみてください。お客様ごとにオーダーされる内容が変わるため、完璧な標準時間を設定することはできませんが、「テーブル上の食器をバッシングし、吹きあげ、メニューとカスターをセットするまでの時間」とすれば、ある程度イメージできるでしょう。

ここでファミリーレストランを思い浮かべてください。とあるチェーン店では、ホールスタッフは、トレイ(トレンチ)を持っていません。下手にトレイを使って安定が悪い状態でバッシングをするよりも、同じ種類の皿を重ね、手持ちで行うことで、よりスピーディなバッシングを実現しているのです。

トレイを使ったら客席と3往復しなければならないところを手持ちで行うことにより2往復でバッシングが済むようにする。1往復で平均2分かかるので、ここでも50円分の業務効率化ができている、ということになります。

いかがでしょうか?
小規模飲食店においては、「うちは小さな店だからマニュアルなんてものはないし、みんなが気合で頑張ってくれている」というところも少なくないでしょう。

でも、1つ1つの作業に標準時間を設定し、それを1分でも短くしていこう、と店舗スタッフ全員で目標を定め、効率化するための案を出し合うことは、若いスタッフにとっても新鮮で「ゲームみたい」と喜んでくれることも多いようです。

人件費が高騰している中、標準時間を設定し業務効率を高めることで、なんとか黒字額を増やせるように頑張ってみましょう。

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