介護現場の用語集

次亜塩素酸ナトリウム

じあえんそさんなとりうむ

次亜塩素酸ナトリウムは、殺菌や染み抜き、漂白に効果を発揮する塩素系の消毒剤の一種で、塩素系除菌漂白剤の主成分でもあります。安価で扱いやすいため、広く消毒に用いられています。ノロウイルスインフルエンザウイルス、サルモネラ菌、チフス菌、大腸菌などに有効です。消毒する際は0.1%(1000ppm)や0.02%(200ppm)などに希釈して使います。便利な反面、皮膚への刺激が強く、酸性の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生するといった危険があるため、取り扱いには注意が必要です。

次亜塩素酸ナトリウムによる消毒の基本

次亜塩素酸ナトリウムは、用途に合わせて水で希釈して使います。用途に合わせた必要な濃度は以下の通りです。

  • 用途

    便や嘔吐物が付着した床やおむつの消毒


    衣服や器具、便座や浴槽、手すり、床などの消毒


  • 必要な濃度

    0.1%(1000ppm)


    0.02%(200ppm)


市販の次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素濃度は1%、5%、12%など製品によって異なるため、以下の計算式に従って必要な次亜塩素酸ナトリウムの量を導き出してください。

必要な次亜塩素酸ナトリウムの量作りたい消毒液の量×(作りたい消毒液の濃度÷原液の濃度
例)有効塩素濃度が5%の次亜塩素酸ナトリウムを用いて、0.1%の濃度の消毒液を1000ml作りたい場合
・・・必要な原液の量1000ml×(0.1%÷5%
=1000×(0.001÷0.05)
=1000×0.02
20ml

なお、希釈に用いる水は、不純物を含まない水道水などの水です。金属類が含まれた水や汚れた水は使用しないでください。

次亜塩素酸ナトリウムの注意点

  • 混ぜるな危険
    次亜塩素酸ナトリウムは酸性の物質と混ぜると有毒な塩素ガスが発生するため、絶対に混ぜてはいけません。市販されているトイレ用や住居用の洗剤には酸性の製品もありますのでご注意ください。
  • 直接触れない
    次亜塩素酸ナトリウムは皮膚に対する刺激が強いため、直接触れてはいけません。水で薄めるときや消毒に使うときには十分な換気を行い、メガネやマスク、ゴム手袋やゴム長靴などで目と手足を守りましょう。
  • 薄めた消毒液は早めに使い切る
    希釈した次亜塩素酸ナトリウムは、日が経つにつれて有効塩素濃度が低下していきます。そのため、消毒液を作り置きしていると十分な消毒効果が得られないこともあります。作り置きはせず、必要なときに必要な分だけ作るようにしてください。

    「何かが起こってから作るのでは分量を間違えてしまうのではないか」など不安な場合は、はじめから最適な濃度になっている製品を活用することもおすすめです。希釈不要ですぐに作業に取り掛かれるため、嘔吐が突然発生した場合にも役立つでしょう。

応急処置

万が一体や衣服についた場合は、すぐに大量の水で洗い流してください。
目に入った場合は水の中でまばたきしながら、15分以上洗ったうえで速やかに医師の診断を受けます。
飲んでしまった場合はすぐに口の中を水ですすぎ、大量の水や牛乳を飲ませ、無理に吐かせずに、速やかに病院を受診してください。牛乳には胃壁を保護し、成分の影響を弱める働きがありますので、可能であれば牛乳を飲みましょう。無理に吐きだそうとすると窒息や誤嚥性肺炎をおこす可能性がありますので避けてください。応急処置後は速やかに医師の診察を受けます。

2018年10月時点の情報をもとに作成しています。

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