コラム

2021年3月23日更新

令和3年度介護報酬改定で何が変わる?これだけは押さえたいポイントまとめ

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令和3年1月18日、厚生労働省が「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」を公表。今回は、新型コロナウイルス感染拡大や、大規模災害における介護サービスの被災状況を踏まえ、平成30年度介護報酬改定で挙げられていた4つの柱に、「感染症や災害への対応力強化」が加えられました。
 
本記事では、令和3年度の介護報酬改定内容のうち、介護施設様に押さえていただきたいポイントをまとめています。改定率もご紹介しているので、介護施設の管理者様、経営者様はぜひご覧ください。
 
※本コラムは令和3年2月4日時点の公表資料を元に作成しております。

介護報酬の改定率

令和3年度の介護報酬の改定率は0.70%で、プラス改定となりました。ただし、0.70%には、同年4~9月末までの時限措置として、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価「0.05%」(同年4~9月の時限措置として基本報酬に0.1%上乗せ)」が含まれています。よって、新型コロナウイルス感染症対応分を除く場合、令和3年度の介護報酬改定率は0.65%となります。
 
以下に示した図は、介護報酬改定が始まった平成15年度からの改定率をグラフ化したものです。

介護報酬の改定率の推移

プラス改定は事業所にとって喜ばしいことですが、場合によってはご利用者様の自己負担額の増加を意味します。ご利用者様の中には「サービス内容が変わっていないのに、なぜ負担額が増えるのか」と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。今回の改定が施行される「4月」に向けて改定の背景を理解しておくことは、介護施設様にとってご利用者様負担が増えてしまった理由を説明する際にも役立つでしょう。 

令和3年度介護報酬改定のポイント

介護給付費分科会にて議論が進められてきた「令和3年度介護報酬改定」。今回の改定の柱は以下の通りです。 

令和3年度介護報酬改定の5つの柱】   1.感染症や災害への対応力強化   2.地域包括ケアシステムの推進   3.自立支援・重度化防止の取組の推進   4.介護人材の確保・介護現場の革新   5.制度の安定性・持続可能性の確保

令和3年度介護報酬改定の5つの柱】   1.感染症や災害への対応力強化   2.地域包括ケアシステムの推進   3.自立支援・重度化防止の取組の推進   4.介護人材の確保・介護現場の革新   5.制度の安定性・持続可能性の確保

令和3年度介護報酬改定の5つの柱】   1.感染症や災害への対応力強化   2.地域包括ケアシステムの推進   3.自立支援・重度化防止の取組の推進   4.介護人材の確保・介護現場の革新   5.制度の安定性・持続可能性の確保

ここでは、介護施設様(施設系サービス)に関連する改定事項を中心に、ポイントをまとめました。改定の背景も簡単に説明していますので、ぜひご覧ください。 

  • ここでいう施設系サービスとは「介護老人福祉施設」「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」を指す。 

【1】感染症や災害への対応力強化 

近年、新型コロナウイルスの感染拡大や自然災害の増加などの影響から、日頃からの備えはもちろん、感染症や自然災害発生時でもご利用者様に必要なサービスが安定的・継続的に提供できる体制の構築が求められています。こうした背景から、今回の改定では「感染対策の強化」や「業務継続に向けた取組の推進」などが新たに加えられました。 

<主な改定ポイント> 

日頃からの備えと業務継続に向けた取組の推進

・感染症対策の強化 

感染症の発生やまん延等を予防するため、すべての介護サービスに対して感染症対策に関する取組(委員会の開催、指針の整備、研修・訓練の実施)が義務化されました。 

・業務継続に向けた取組の推進 

感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築できるよう、すべての介護サービスに対して「業務継続に向けた計画等の策定、研修、訓練の実施」などが義務化されました。

・災害への地域と連携した対応の強化 

災害への対応は地域との連携が大切になります。よって、施設系サービス等が非常災害対策に関する訓練を行う場合、地域住民の参加が得られるよう連携を図ることが努力義務化されました。 

【2】地域包括ケアシステムの推進

高齢化、認知症の高齢者の増加が進んでいる本邦において、介護ニーズのさらなる増大・多様化が予測されます。こうした中、国では2025年を目処に「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。今回の改定では、住み慣れた地域において、ご利用者様の尊厳を保持しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう、「認知症への対応力向上に向けた取組の推進」や「看取りへの対応の充実」などについて議論されました。 

<主な改定ポイント> 

認知症への対応力向上に向けた取組の推進

認知症対応力を向上させるため、すべての介護サービス(*1)で働く医療・福祉関係の資格をお持ちでない職員に対して「認知症介護基礎研修」の受講が義務化されました。その他、すべての介護サービス(*2)に対して、認知症に係る取組の情報公表が求められるようになりました。施設系サービス等については、これらに加えて、「認知症専門ケア加算等の見直し」が行われました。 
(*1)無資格者がいない訪問系サービス(訪問入浴介護を除く)、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く
(*2)介護サービス情報公表制度の対象とならない居宅療養管理指導を除く 

看取りへの対応の充実 

看取り期におけるご本人・ご家族との十分な話し合いや、他の関係者との連携を一層充実させるため、「看取り介護加算(介護老人福祉施設等)」や「ターミナルケア加算(介護老人保健施設)」の算定要件に、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等に沿った取組や、ご本人の意志を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援が規定されました。 

【3】自立支援・重度化防止の取組の推進 

ご利用者様の自立支援・重度化防止を図るには、リハビリテーション・機能訓練や口腔、栄養の取組が大切になります。また、自立支援・重度化防止の取組を適切または効率的に行うには、サービスの質の評価やデータの活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供が必要です。今回の改定では、「介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進」や「寝たきり防止等、重度化防止の取組の推進」などについて議論されました。 
 
なお、「科学的介護(※)」の理解と浸透をより一層図るため、令和3年度からは、CHASE(高齢者の状態・ケアの内容等のデータベース)とVISIT(通所・訪問リハビリテーションの質の評価に関するデータベース)が、「LIFE(ライフ)」という一つのシステムに統合される予定です。 
 
※科学的介護とは、科学的な検証に裏付けられた客観的な根拠に基づいて実践する介護を指す。 

<主な改定ポイント> 

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の連携・強化 

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養に関する加算等の算定要件には、計画作成や会議に関する事項が設けられていますが、今回、これらにリハビリテーション専門職、管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加することが明文化されました。その他、各種計画書に記載されている項目のうち、重複する項目については整理するとともに、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式が設けられることとなりました。 

・リハビリテーション・機能訓練 

自立支援・重度化防止におけるさらなる質の向上のため、「リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(老健)」が新設されました。 

・口腔

口腔衛生管理体制の確保に加え、ご利用者様の状態に応じた丁寧な口腔衛生管理のさらなる充実を促すため、「口腔衛生管理体制加算(施設系サービス)」が廃止されました。令和3年度からは、基本サービスとして行うことになります。  

・栄養 

栄養ケア・マネジメントの取組のさらなる強化を目指すため、「栄養マネジメント加算(施設系サービス)」が廃止され、基本サービスとして行うことに。栄養ケア・マネジメントが実施されていない場合、基本報酬が減算されます。 

介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進 

介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進に向けて、LIFEの活用を促す観点から、「科学的介護推進体制加算(施設系サービス)」を新設。既存加算の単位数・算定要件の見直しも行われました。「リハビリテーションマネジメント加算(訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション)」などについてはLIFEの活用次第で単位数がプラス、「褥瘡マネジメント加算」などについては算定要件にLIFEへのデータ提出・活用が追加されるようです。 

寝たきり防止等、重度化防止の取組の推進 

介護の質の向上につながる取組がより一層進められるよう、既存の「褥瘡マネジメント加算」「排せつ支援加算」に、褥瘡や排せつの状態の改善等(アウトカム)を評価する新たな区分が創設されました。また医師の関与の下、リハビリテーション・機能訓練・介護等を推進するため、「自立支援促進加算」が新設されました。 

【4】介護人材の確保・介護現場の革新

介護ニーズが高まる一方で、介護人材の不足が慢性化している介護業界において、人材確保や生産性向上などに寄与する取組の実施は急務です。今回の改定では、「介護職員の処遇改善や職場環境の改善」や「テクノロジーの活用や人員基準・運営基準の緩和」などについて議論されました。

<主な改定ポイント> 

介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進

事業者にとって、既存の「介護職員等特定処遇改善加算」がより活用しやすい仕組みになるよう、同加算の見直しが行われました。また、働きやすい職場環境づくりが進められるよう、「人員配置基準における両立支援への配慮」や「ハラスメント対策」がすべての介護サービスに対して求められるようになりました。 

テクノロジーの活用や人員基準・運営基準の緩和を通じた業務効率化・業務負担軽減の推進 

・テクノロジーの活用

テクノロジーの活用が推進されるよう、「見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算(介護老人福祉施設等)」の見直しが行われました。また、すべてのサービスに対してICTを活用した会議等が認められるようになったほか、対象サービスは限られますが、職員体制等を要件とする加算(*1)に、見守り機器やインカムといったテクノロジー機器の活用を考慮した算定要件が導入されました。
(*1)介護老人福祉施設における「日常生活継続支援加算」や、施設系サービスにおける「サービス提供体制強化加算」等 

・人員基準・運営基準の緩和 

介護老人福祉施設等については、人員確保や職場定着の観点から、人員配置基準が見直されました。 

文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進

ご利用者様等への説明・同意や、諸記録の保存・交付等について、電磁的な対応が原則認められるようになりました。また、運営規程等の重要事項の掲示についても見直しが行われました。 

【5】制度の安定性・持続可能性の確保

保険料・公費・ご利用者様負担で支えられている「介護保険制度」。近年、介護に要する費用が大幅に増加していますが、少子高齢化の影響で生産年齢人口のさらなる減少が見込まれています。こうした中、今回の改定でも制度の安定性・持続可能性が高められるよう、サービス提供の実情などを踏まえつつ、「評価の適正化・重点化」や「報酬体系の簡素化」が進められました。 

<主な改定ポイント> 

評価の適正化・重点化

介護療養型医療施設(老人性認知症疾患療養病棟を除く)については、令和5年度末の廃止期限までに介護医療院への移行等を進める観点から、基本報酬の見直しが行われました。また、「介護職員処遇改善加算(IV)(V)」については、上位区分の算定が進んでいることから、「廃止」が決定されました。令和3年度3月末時点で、同加算を算定している介護サービス事業者には、1年間の経過措置期間が設けられています。 

 以上、令和3年度介護報酬改定の5本柱について、それぞれ改定ポイントをご紹介しました。これらの他、今回は「高齢者虐待防止に関する取組の義務化」や、「安全管理体制未実施減算加算・安全対策体制加算の新設」といった、ご利用者様の安心と安全を守る事項も加えられました。 
 
施設の種類によって対象となる改定事項は異なる上、中には経過措置が設定されているものもあります。くわしくは厚生労働省のウェブサイトをご覧ください。 

執筆:花王プロフェッショナル業務改善ナビ【介護施設】編集部

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