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感染対策にお悩みの経営者様、施設長様におすすめするWEBセミナー開催のお知らせ

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2022年1月18日更新

介護崩壊しないためには?施設における新型コロナウイルス感染予防・感染時の対処手順まとめ

著者プロフィール/吉田 理香(よしだ・りか)
東京医療保健大学 医療保健学部 看護学科
同大学院 医療保健学研究科 感染制御学
感染制御学教育研究センター 教授
日本看護協会 感染管理認定看護師
各地の介護施設において感染予防対策の支援を行っている。日本感染管理ベストプラクティス“Saizen”研究会の病院・介護施設のアドバイザーを17年間携わっている。また、日本医療福祉設備協会理事として、「病院施設設計のガイドライン(空調設備編)の改訂メンバーとして制作にかかわっている。主な著書に「なぜ?がわかる 高齢者ケアの感染対策○と×」(共著)、「感染管理ベストプラクティス ~実践現場の最善策をめざして~介護現場のベスプラ事例集 」(共著)など、そのほか、感染制御系専門誌、介護系雑誌などにおいて、介護施設で必要な感染予防対策について解説している。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、クラスターの発生で本来のサービスを維持できず「介護崩壊」に陥った施設もあります。「自施設でクラスターが発生したらどう対処するか」と考えを巡らせている介護施設責任者様は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、厚生労働省が発表している介護施設向けの資料をもとに、感染を予防するためにできること、施設内で感染が発覚した場合の対処法を解説します。

介護崩壊を防ぐために今からできること

まずは、施設内での感染を予防し、スタッフ様の感染対策知識や感染予防トレーニング不足による介護崩壊を防ぐために、施設責任者様が今できることを解説します。

感染対策を再徹底する

平時から十分な換気、コンタクトポイントの消毒、手指衛生の徹底などスタンダード・プリコーション(標準予防策)を実施することに加え、「空気感染・飛沫感染接触感染」の感染経路別予防策を講じることが基本の対応となります。

ご利用者様の外出については、健康維持のために欠かせない重要なことですので、不必要に制限しないようにしましょう。ただし、ご利用者様本人と外出先で対応してくれる方の体調管理の確認、密の回避、不織布マスクの着用や手指衛生など基本の感染対策は徹底する必要があります。また、2回目のワクチン接種が終了して6ヵ月以上経過している場合は抗体価(抗体の量を表す数値)が下がっている可能性があるため、地域の感染の流行状況を確認し状況判断をすることが重要です。

ご利用者様のリハビリを行う際は同じ時間帯・場所での参加人数を減らし、ご利用者様同士の距離を保つことが大切です。また、声を出す機会は最小限にして換気を定期的に行いましょう。

こまめに体調管理を行う

感染の疑いがある方を早期に見つけるため、ご利用者様については毎日の検温と体調管理を徹底し、食事などサービス提供時の表情や食事量などを確認して、いつもと違うと感じたら担当医に相談する仕組みにしましょう。

スタッフ様についても、出勤前の検温と体調管理を徹底しましょう。体調不良はご本人しか分かりませんので、体調が悪いスタッフ様が無理をして出勤しないよう、体調不良を申し出やすい職場環境をつくることも大切です。

面会や施設立ち入りの条件を設ける

ウイルスが外から持ち込まれることを防ぐため、ご利用者様の家族の面会や業者の立ち入りには一定の条件を設けましょう。面会者や業者が施設内に入る際は、手指消毒や体温計測、体調チェックを実施してください。面会については、十分換気ができ、フィジカルディスタンスがとれる場所を確保し回数や時間などのルールを決め、何か問題があったときに追跡できるよう施設に入った日時や連絡先を記録に残せるようにしましょう。

可能ならばオンラインでの実施も検討すると良いでしょう。オンライン面会のメリットや始め方についてはコラム「介護施設がオンライン面会を取り入れるメリットとは 始め方も紹介」をご覧ください。

感染症BCPを策定する

万が一感染が発覚した場合に適切に対処しサービスを維持できるよう、感染症BCPを策定しましょう。感染症BCPは自然災害のBCPと異なり、正確な情報の入手と判断、人員確保、個人防護具や手指消毒薬の備蓄など感染防止が鍵となります。BCP作成時は、情報伝達のフローや、感染者(または疑われる方)が発生した場合の対応、人員確保の方法、業務の優先順位を整理することがポイントです。

感染症BCPへの取り組みは介護報酬でも義務化されています。詳しい内容はコラム「令和3年度介護報酬改定で何が変わる?これだけは押さえたいポイントまとめ」をご覧ください。

感染が発覚した場合の対処方法

では、ご利用者様やスタッフ様の感染が発覚した際にはどのように対応したらよいのでしょうか。対処方法を順に解説します。

(1)関係者へ情報を共有する

ご利用者様やスタッフ様の感染が発覚した場合は、まず施設管理者様に正確な情報の報告ができる連絡体制になっているか確認してください。施設管理者様は、協力体制のある医療機関や地域の発熱・相談センターに相談し、施設内部、指定権者に連絡を取って事情を説明しましょう。ご利用者様の感染が確認された場合は、ご家族にも事情を連絡します。また、保健所の指示に従って濃厚接触者の特定に協力します。

(2)施設内を消毒・清掃する

次に、感染者が使用した居室や共有スペースで接触したところ(コンタクトポイント)を清掃・消毒してください。具体的には、使い捨ての手袋・エプロン・不織布マスクを着用し、住居用洗剤での環境表面の洗浄や消毒用エタノールで消毒を行います。次亜塩素酸ナトリウム液で消毒する場合は、後に湿式清掃し乾燥させてください。ただし、保健所の指示がある場合はその指示に従ってください。

次亜塩素酸ナトリウム液を含む消毒薬の噴霧については、吸引すると有害であることに加えて効果も確実ではないため、行わないようにしましょう。

(3)感染者・濃厚接触者への対応を行う

スタッフ様が感染した場合は、基礎疾患の有無、家庭環境やご本人の症状により入院・宿泊施設・自宅療養が保健所より指示されますので、どこで療養するのか確認してください。濃厚接触者である場合は自宅待機が原則となります。

ご利用者様が感染した場合は入院が基本ですが、周囲の感染状況や症状などによって自治体の判断に対応する必要があります。ご利用者様の中に濃厚接触者がいらっしゃる場合はできるだけ個室へ移動してもらい、他のご利用者様と交差しないようゾーニングを徹底し、注意してケアを行ってください。

ゾーニングとは、感染者・濃厚接触者・感染の疑いがある方がいる汚染エリア(レッドゾーン)、個人防護具の脱衣エリア(イエローゾーンまたはグレーゾーン)、感染者でない方・濃厚接触者でない方・感染の疑いがない方など感染者の発生がない清潔エリア(グリーンゾーン)に分けることを言います。実際に感染者が出た場合にどのようにゾーニングするのかあらかじめ決めておくことが重要です。また、レッドゾーン・イエローゾーンには「関係者以外立ち入り禁止」など明示し、床(床が絨毯の場合には壁など)に赤色・黄色・緑色のテープを貼ることで、スタッフ様が間違えないようにすることも重要です。

濃厚接触者のご利用者様をケアする際の注意点

濃厚接触者の利用者様に接触する場合は、スタッフ様はすべて個人防護具(使い捨て袖付きエプロン、サージカルマスク、手袋、場合によってはフェイスシールド)を着用してください。

  • 食事介助

原則として個室で行ってください。食事前は、手指洗浄剤と流水でご利用者様の手洗いを行うことが必要です。食器は使い捨て容器を使用するか、または濃厚接触者のものを分けた上で、熱水洗浄が可能な自動食器洗浄機を使用しましょう。まな板、ふきんは、洗剤で十分洗って熱水消毒するか、次亜塩素酸ナトリウム液に浸けた後に洗浄してください。

  • 排泄介助

他のご利用者様と使用するトイレを分けましょう。可能ならば、トイレ付きの個室で対応することを考えましょう。おむつ交換の際は、排泄物に直接触れない場合であっても、手袋に加え、サージカルマスク、使い捨て袖付きエプロンを着用します。使用済みおむつなどの廃棄物の処理に当たっては、各自治体に確認し感染防止対策を講じてください。ポータブルトイレを利用する場合の介助も同様ですが、使用後のポータブルトイレは洗浄し、次亜塩素酸ナトリウム液などで適切に処理を行いましょう。

  • 入浴・清拭

原則として清拭で対応しますが、個人専用の浴室で介助なく入浴ができる場合は、入浴を行っても問題ありません。清拭で使用したタオルなどは熱水洗濯機(80℃10 分間)で洗浄後に乾燥を行うか、または次亜塩素酸ナトリウム液に浸けた後に洗濯・乾燥を行ってください。

  • リネン・衣類の洗濯

可能ならば、他のご利用者様と分けて洗濯しましょう。洗濯の方法として、熱水洗濯機(80℃10 分間)で処理して乾燥させるか、白色のものは次亜塩素酸ナトリウム液または塩素系漂白剤、色物は酸素系漂白剤を使用し洗濯を行いましょう。ご利用者様が使用したティッシュなどのごみの処理は、ビニール袋に入れ密封するといった感染防止対策を講じましょう。

(4)感染拡大防止体制を整える

繰り返しになりますが、施設内での感染拡大を防ぐため、あらかじめ感染者や濃厚接触者が出た場合のご利用者様の配置、ゾーニング、消毒範囲は決めておくことは大変重要です。その上で保健所に状況を説明し、消毒範囲・消毒内容、生活空間の区分け、運営を継続するために必要な感染対策について指示をもらい、実施しましょう。

個人防護具や消毒液などについては在庫量・必要量を確認し、不足がないように補充しておきます。通常の調達先から確保できない場合に備えて複数の業者と連携しておくことも重要です。不足が見込まれる場合は自治体、事業者団体に相談しましょう。

スタッフ様が連続した長時間労働を余儀なくされる場合は、その後一定の期間が休めるようシフトを組んでください。定期的に実際の勤務時間などを確認し、長時間労働とならないよう努めることが大切です。

スタッフ様の感染などにより人員不足が見込まれる場合

スタッフ様が感染したり濃厚接触者になったりした場合に人員が不足する可能性があります。そのため勤務が可能な方と休職が必要な方の把握を行い、勤務調整を行いましょう。勤務可能なスタッフ様に対しては事情説明を行ったうえで、緊急時には通常業務以外であっても業務のサポートをしてもらうなど、ご利用者様の安全確保に努めたシフト管理が重要です。施設内で人員を調整しても職員の不足が見込まれる場合は、早めに自治体や関係団体へ連絡して応援を依頼しましょう。

まとめ:スタッフ様の心のケアも大切に

日頃の声かけやコミュニケーションを大切にし、過重労働がないか、また風評被害などで精神的に不調を抱えるスタッフ様がいないか常にアンテナを広げて確認しましょう。メンタルケアについては、事務所内や法人内に相談窓口を設置するなど、悩みを抱えたスタッフ様が相談できる体制を整えることも重要です。自治体や保健所にある精神保健福祉センターなど、外部の専門機関にも相談できる体制を整えておきましょう。

新型コロナウイルス感染症は、まだ今後の予測がつかない状況にあります。また、今回の感染症が落ち着いても今後も新興感染症はいつ来るか分からないと考えた方が良いでしょう。施設管理者様は、感染状況が落ち着いたときに、今回の状況を教訓に各ご施設で振りかえりをしましょう。介護施設ではウイルス(コロナ、インフルエンザ、ノロなど)に対する感染症対策が重要となります。基本的な標準予防策の見直し、個人防護具の着脱など平時からスタッフ様のトレーニングを行い、常に先を見て準備することが重要です。

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